01.ご奉仕体験記

あかりさんの記録(その2)会う前の、長いやりとり

前回は、お問合せフォームからあかりさん(34歳・都内在住)のメッセージが届いて、僕がうろたえながら返信した話を書いた。

今回は、会うまでのやりとりのこと。ここでは、いやらしいことは何も起きない。ただ、メッセージを重ねただけ。でも、この時間がいちばん大事だったと、今でも思う。

少しずつ、話してくれる

最初のうち、あかりさんのメッセージはどこか遠慮がちだった。

仕事は、まあまあ忙しいです。人に頼るのが下手で、いつも一人で抱えてしまって。 気づいたら、自分のことを大事にするのを、ずっと後回しにしていた気がします。

こういう文章を読むと、僕はまた胸が痛くなる。返す言葉を探すんだけど、気の利いたことなんて何も浮かばない。

後回しにしてきたぶん、これからゆっくり、自分を大事にしていきましょう。 まずは、こうして話してくれるだけで十分です。

そんな、当たり前のことしか書けない。もっと賢い人なら、もっと響く言葉をかけられるんだろうな、と思う。でも僕には無理だ。

「こんな私で、がっかりしませんか」

やりとりを重ねるうちに、あかりさんはだんだん、自分のことを話してくれるようになった。そしてある日、こう送ってきた。

正直に言うと、会うのが少し怖いです。 私、そんなに若くもないし、スタイルもよくないし…… 実際に会って、がっかりされたらどうしよう、って。

これを読んで、僕は思わずスマホに向かって「そんなわけないでしょ」と声を出してしまった。一人の部屋で。かっこ悪い。

でも、その勢いのまま返した。

がっかりなんて、絶対にしません。 というか、がっかりされるのを心配しなきゃいけないのは、こっちのほうです。 僕なんて、172センチ75キロの、腹の出た中年ですから。 会ってがっかりされたら、と思うと、正直こっちが怖いくらいです。

送ってから、正直に書きすぎたかな、と思った。でも、あかりさんから「ふふ、なんだか安心しました」と返ってきて、ほっとした。

約束の日が、決まった

何度もやりとりして、少しずつ距離が縮まって、やがて会う日が決まった。

それじゃあ、来週の金曜日、お仕事のあとで。 無理そうだったら、当日でも全然かまいません。ドタキャンも、いつでもどうぞ。

そう送ると、あかりさんは「ありがとうございます。……ちょっとだけ、楽しみにしてもいいですか」と返してくれた。

楽しみ、と言ってもらえたのは、素直に嬉しかった。恋愛的なドキドキとかじゃない。せっかく勇気を出して来てくれる人に、ちゃんと非日常を持って帰ってほしい、という気持ちだ。

正直、この時点で僕はもう、そわそわしっぱなしだった。当日までの一週間、何を着ていくかとか、部屋を片付けなきゃとか、そんなことばかり考えていた。落ち着かない中年男が一人、そわそわしている。

でも、あかりさんが肩の荷を下ろして帰れるなら、僕はどんな準備でもする気だった。

そして、金曜日が来る。(続く)